著者
王 一令 鷲尾 純一
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.97-111, 2004-07-30 (Released:2017-07-28)

本研究では、中国語を母語とする聴覚障害児(者)の音韻および韻律聴取能力を調べるための語音聴力検査法の開発を試みた。これは3つの検査からなっている。(1)音韻聴取検査: 単母音/a/、あるいは/i/を含むCV音節で平坦音調(第一声)の1文字単語20個から構成された。(2)四声聴取検査: 音韻が同一で四声の異なるCV音節1文字単語24個(6音韻×4種類の四声)から構成された。(3)イントネーション聴取検査:同一音韻連続で肯定表現と疑問表現を表す2語文(2文字動名詞)4組から構成された。これらの検査語・文について、音響的特徴を明らかにした。また、本検査法を中国天津市に在住する正常聴力を有する小学校児童(低学年)と聴覚障害を有する大学生に適用して、学童を対象としても利用できること、および聴覚障害児(者)の音韻聴取能力および韻律聴取能力を体系的に分析できる検査法として利用できる見通しを示した。
著者
王 一令 鷲尾 純一 Wang Yi-Ling Washio Junichi
出版者
筑波大学心身障害学系
雑誌
心身障害学研究 (ISSN:02851318)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.7-19, 2002-03
被引用文献数
1

本研究の目的は、日本語を母語とする聴覚障害児の韻律知覚能力を調べることである。そこで、2モーラ単語アクセントと2語文イントネーション(肯定/疑問)を用いて、弁別テストと識別テストを含む検査用バッテリを新たに開発した。これらの検査を東京都と千葉市にある小学校きこえの教室に通級する児童16名を対象に実施した。主な結果は、以下の通りである。1)アクセント、およびイントネーションの知覚能力と平均聴力レベルとの相関に関しては、中程度から高い負の相関(r=-0.494~-0.778)が認められた。平均聴力レベルが91dB以上(WHO の分類による最重度)であれば、アクセントとイントネーションの知覚は困難になることが示唆された。2)アクセント、およびイントネーションの知覚能力と語音明瞭度との相関に関しては、高い正の相関(r=0.694~0.966)が認められた。語音明瞭度が80%以上であれば、アクセントとイントネーションの知覚はより高いレベルになることが示唆された。
著者
鷲尾 純一
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.73, pp.13-16, 2006-06