著者
渡辺 弥生 Watanabe Yayoi
巻号頁・発行日
1989

思えば、筆記用具片手に、幼稚園へ観察に通ったのが、本研究のはじまりだった。運動場で戯れる子どもたちを終日追いかけて、何か興味の湧く研究テーマに出会わないかと漠然と期待しながら、観察していた。砂場、ブランコ、すべり台、体育館、いたるところで、たくさんの子が夢中で遊んでいる姿は、半ば戦場のように騒然としていた。まったく、無秩序で、混沌たる世界のようであり、時にはケンカする場面も見かけられたが、ふっと不思議に思えたことがあった。それは、もうすでに子供達なりの世界ができあがっているんだなあ!といった印象であった。 ・・・