- 著者
-
Danny W. Scott
William H. Miller Jr.
- 出版者
- 日本獣医皮膚科学会
- 雑誌
- 獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, no.3, pp.135-147, 2013 (Released:2013-10-31)
- 参考文献数
- 50
- 被引用文献数
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8
過去15年の間に皮膚疾患を主訴として受診した猫の13.8%,ならびに全症例の0.9%がアトピー性皮膚炎と診断された。本症に特有の好発年齢や性差は認められなかったが,アビシニアン,ヒマラヤンまたはペルシャに好発する傾向があった。季節性を伴わない臨床症状が症例の62.4%で認められた。皮膚の反応パターンを頻度の高いものから順に挙げると,皮疹を伴わない左右対称性の?痒(特に顔面,耳介および頸部),外傷性脱毛(特に腹部,背部および四肢),粟粒性皮膚炎(特に背部および頸部)ならびに好酸球性肉芽腫群(特に亢進,腹部および大腿内側)の順であった。症例の36.2%では異なる反応パターンが同時に認められた。症例の18.6%では二次的な細菌感染が,また症例の6.6%では酵母による感染症が認められた。食物アレルギーとの合併を認めた症例の頻度はわずか4.5%で,ノミアレルギーとの合併例は認められなかった。多くの症例では,グルココルチコイド製剤や抗ヒスタミン薬,オメガ-6/オメガ-3脂肪酸,アレルゲン特異的減感作療法,ならびにこれらの併用療法により,臨床症状を良好に管理することができた。