著者
矢島 信之 YAJIMA Nobuyuki
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集: 大気球研究報告 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.19-26, 2000-03

本論文では, ゼロプレッシャ気球とスーパープレッシャー気球を組合せた複合気球システムについて考察する。このシステムでは, ゼロプレッシャー気球がペイロード重量を支え, スーパープレッシャー気球が全体の浮力を制御する。この気球システムは, 単一構成のスーパープレッシャー気球と同様にバラストを捨てずに高度を維持できる。利点は(1)総気球重量が減少する, (2)スーパープレッシャバルーンが小型になる, (3)生産コストが下がる, ことである。他方, 欠点としては, (1)スーパープレッシャー気球は単独のシステムに比べ大きな圧力に耐えなければならず, (2)昼, 夜間で高度が僅かに変化する。こうした特徴を詳しく解析する。一般的には, 利点が欠点を上回る。解析結果は, 観測目的に応じて気球システムを選ぶ際に有効となる。
著者
西村 純 矢島 信之 藤井 正美 横田 力男 Nishimura Jun Yajima Nobuyuki Fujii Masami Yokota Rikio
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集: 大気球研究報告 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.13-19, 1990-12

この論文では金星大気の運動や組成を観測する金星気球を開発するため, 金星気球のモデル試験の方法を提案する。金星浮遊気球としては, いくつかの形態が提唱されてきたが, ここでは適当な液体をつめた相転移気球について詳しく検討する。金星大気の主成分は炭酸ガスで, 高度が下がるとともに温度が上昇するので, 気球内に入れた液体が蒸発して浮力を生ずる。ある高度を境として蒸発と液化が起こるので, 気球は一定高度に安定に浮遊することができる。金星大気から金星気球への熱伝達について詳しく解析するとともに, 温度勾配をつけた小型の水槽にモデル気球を浮かべて, 相転移気球の試験を行えることを実証した。