著者
山内 誠 Yamauchi Makoto
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
宇宙科学研究所報告 (ISSN:02852853)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.1-48, 1989-03

セイファート銀河の物理的状態を明らかにするために, 2つのI型セイファート銀河, MCG-6-30-15とNGC4051が「ぎんが」衛星に搭載された低バックグラウンドの大面積比例計数管により観測された。今回の観測により, 以下に記すような3つの新しい結果を得ることが出来た。(1) 50%を越えるような大きな振幅の変動が100&acd;300秒の短時間でも見つかった。これは今までの観測結果と比べ最も短時間での変動である。(2)両方の天体でスペクトル変動が見つかった。これはX線強度が増すとそのスペクトルの傾きが急になるというものである。このスペクトル変動は2-10keVの光度が約3&acd;4倍増加するのに相関して, 光子スペクトル指数がα&ap;1.7の付近で△α&ap;0.4&acd;0.5増加するということで説明できる。(3)MCG-6-30-15のX線スペクトルは, X線源の約60%を覆うような, 非常にコラム密度の高い(N_H&ap;6・10^<24>cm^<-2>)吸収物質が存在するということを小している。このような物質は, 多分, 中心核の近くにあると考えられる。