著者
山里 純一 Yamazato Junichi
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
人間科学 = Human Science (ISSN:13434896)
巻号頁・発行日
no.31, pp.145-192, 2014-03

琉球諸島の民話には星を題材としたものが多い。その中には「天人女房」のように、中国や日本本土の影響を受けたものもあれば、琉球諸島独自の星や星座の由来譚、または季節や物事のたとえとして語られ、伝承されたものも少なくない。こうした多様な民話を生み出した背景には、星や星座の運行を観察することによって時節や気象を知り、農業や航海の目安とした琉球諸島の人々の暮らしがあった。
著者
山里 純一 Yamazato Junichi
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
人間科学 : 琉球大学法文学部人間科学科紀要 (ISSN:13434896)
巻号頁・発行日
no.28, pp.1-55, 2012-09

久米島出身の吉浜智改は、朝鮮の通書『諺文家庭宝鑑』に記された「土亭行年法」という占いテキストを自ら琉球語による解説を施し、運勢判断に利用していた。『行年運琉訳』と名づけられたその資料は、朝鮮語によって書かれた「土亭行年法」の単なる翻訳本ではない。そこには当時の沖縄の風習や、筆者自身巧みな言語表現がみられる。また沖縄における朝鮮の占い文化受容の実態を知る上でも興味深い資料である。
著者
山里 純一 Yamazato Junichi
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
人間科学 : 琉球大学法文学部人間科学科紀要 = Human sciences : bulletin of the Faculty of Law and Letters, University of the Ryukyus Department of Human Sciences (ISSN:13434896)
巻号頁・発行日
no.32, pp.55-77, 2015-03

旱魃は人間の生存を脅かす最たるものの一つである。気象学や科学技術が発達した現代においてさえ、降雨は自然に委ねる他はないが、これを人間の力を越えたものに頼って雨を得ようとする行為が雨乞いである。雨乞いは地域共同体や行政レベルで行われ、一定の儀礼を伴うが、本稿は宮古・八重山を中心に、沖縄本島の中北部および久米島の事例も参照しながら沖縄における地方の雨乞い儀礼について、概観したものである。