著者
三浦 洋子 Yoko Miura 千葉経済大学 Chiba Keizai University
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = The Chiba-Keizai ronso (ISSN:0915972X)
巻号頁・発行日
no.29, pp.45-77,

朝鮮半島の人口問題を食料事情との関連させながら、戦前の李朝時代、植民地時代から現在の韓国と北朝鮮まで比較検討を試みた。すなわち、総人口、人口変動要因である合計特殊出生率、平均寿命、国内移動、国際移動、人口政策も交えて検討し、さらに戦後の人口移動が引き起こした問題点として、年齢構造の変化、経済活動参加状況、産業別労働人口を考察した。李朝時代は食料不足が人口増加の歯止めとなったことが、人口低迷の理由であろうし、植民地時代の人口倍増は、1人1日当りの供給熱量が2,700キロカロリーという水準に到達したことと、衛生状態の改善等が主な理由である。戦後は韓国では70年代の「続の革命」まで人口増加圧力による食料不足は継続した。北朝鮮は当初人口が1000万人に満たなかったため韓国のような食料不足はなかったが、旧ソ連の崩壊とともに支援国を失い、1990年代中半から食料危機が叫ばれ餓死者まででてきた。したがって北朝鮮は人口変動のあらゆる局面に食料不足と経済難が影響している状況にある。
著者
三浦 洋子 Yoko Miura 千葉経済大学 CHIBA KEIZAI UNIVERSITY
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = The Chiba-Keizai ronso (ISSN:0915972X)
巻号頁・発行日
no.40, pp.77-89,

北朝鮮は慢性的食料不足に陥っていて、韓国はじめ各国はさまざまな支援を行ってはいるが、実態がよくわからず、支援の方法も暗中模索の感がある。そこで、植民地時代の日本資本による「有畜畑作農業」でのじゃがいも栽培と、2000年代、いわゆる「金正日じゃがいも革命」の支援に赴いた日本人の経験を取上げて、北朝鮮の農業発展の方向性を考えてみた。その結果、北朝鮮の気候や土壌は、北海道式のじゃがいも栽培技術が十分適応可能であることがわかった。そこで、そうした技術を利用して、植民地時代、日本人によって行われたような、まず土つくりから始め、家畜を飼い、その糞尿を厩肥として畑にまき、じゃがいもやその他の畑作物を輪作体系で栽培して家畜の餌や人間の食料をつくり、可能であれば肉や乳を生産加工して販売する、といった「循環型農業」を目指すべきであり、こうした計画のもとに各国の支援を要請することが重要であると思われた。