著者
小柳 美樹 Yoshiki Koyanagi
雑誌
淑徳大学人文学部研究論集 (ISSN:21895791)
巻号頁・発行日
no.6, pp.17-27, 2021-03-15

明暦三年(1657年)、吉原遊廓は奥浅草(現在の台東区千束)で新たに誕生する。この地は洪水から江戸城下を守る堤防(日本堤)が築かれる一方で、寺社地や墓地、刑場、ゴミ集積場などが配置された場所であり、江戸城下町の再開発が進む中で遊廓が組み込まれたことが確認できる。発掘調査による地層堆積状況を確認すると、吉原遊廓は後背地砂州上の微高地に立地していることが確認できる。わずか4ヵ月足らずの短期間での造成地業、遊廓完成の要因のひとつとして地理条件を加えることができる。