1 0 0 0 OA Russian Berlin

著者
諫早 勇一 Yuichi Isahaya Юити Исахая
出版者
同志社大学言語文化学会
雑誌
言語文化 = Doshisha Studies in Language and Culture (ISSN:13441418)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.313-353, 2005-12-31

Russian Berlinとは、1920年から1923年ころまでのベルリンで、ロシア人亡命者とソヴィエトの文化人たちが作り上げていた独特の世界を表すが、これについてはこれまでにもさまざまな研究がなされてきた。しかし、それらの多くは当時の文学サークル・定期刊行物などを中心とした「文学」研究であり、それによれば、Russian Berlinは1923年をもって崩壊したとされていた。だが、当時ベルリンにつどったロシア人たちは、演劇・音楽・映画・思想などさまざまな分野で秀でた業績を残しており、それらを考慮に入れるとき、1923年という区切りは意味を持たなくなる。本論文では出版、文学サークル、文学カフェ、定期刊行物、演劇、音楽・美術、映画、思想などの分野でのRussian Berlinの活動を跡付け、ベルリンにおける亡命ロシア文化が、ヒトラーが政権につく1933年ころまで数多くの成果(キャバレー「青い鳥」の活躍や、ベルジャーエフをはじめとする思想家の啓蒙活動、ジャーナリスト・文学者同盟の継続的な活動など)を残してきたことを確認し、その中で亡命ロシア人が果たした役割も大きかったことを論証した。
著者
諫早 勇一 Yuichi Isahaya
出版者
同志社大学言語文化学会
雑誌
言語文化 = Doshisha Studies in Language and Culture (ISSN:13441418)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.69-87, 2011-08-25

ナボコフがゴーゴリ論の中で使って有名になったposhlostという語は、ゴーゴリ自身が自分の作品を論じるにあたって使った語だが、その後メレシコフスキイ、ゼンコフスキイらさまざまな批評家もゴーゴリの作品を論じるにあたって用いてきた。本論では、poshlostという語の意味の変化を追いながら、その意味の広がりを検討し、ナボコフの用法によってこの語を理解することの危険性を指摘した。