著者
田村 夢果 内山 智裕 井形 雅代 Yumeka Tamura Tomohiro Uchiyama Masayo Igata
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.81-86, 2022-09-16

新型コロナウイルス感染症は,花き業界にも多大な影響を与えた。特に2020年3~5月の第1波では,業務用需要が大幅に減少した結果,大量の花が廃棄され,「フラワーロス」と称された。しかし,小売店での売れ残りに伴うロスや,出荷規格から外れたことによるロスなど,花の廃棄の問題は以前から存在している。本論は,小売業者による花の廃棄問題への対策の内容を解明し,コロナ禍における状況変化を明らかにすることを目的とした。そして,花の廃棄対策に積極的に取り組む小売業者3社の事例分析により,以下の2点を明らかにした。①発生を抑制・減量化するために,規格外品の販路の開拓,サブスクリプションサービスやオンラインD2C販売など流通の短縮化,販売数の確定や正確な予測などに取り組んでいる。②対策を行ったうえでも発生するロスを活用して,堆肥化などの新たな製品にリサイクル・アップサイクルしている。また,コロナ禍におけるフラワーロスへの関心の高まりが,広い範囲での花の廃棄削減に効果を発揮していることも明らかにした。