- 著者
-
加藤,紘
- 出版者
- 日本産科婦人科学会
- 雑誌
- 日本産科婦人科學會雜誌
- 巻号頁・発行日
- vol.22, no.12, 1970-12-01
二重抗体法によりHCGの Radioimmunoassay を行つたが, その感度は10mIU/m1以上であつた.また Assay に対するHGH, HTSH, ACTH及び Prolactin の影響は軽微であり, 他の非特異的反応も殆んど認められなかつた.この Radioimmunoassay を妊婦及び絨毛性疾患患者のHCG測定に応用し次の結果を得た.1)妊婦血中及び尿中のHCG量は9〜12週目にpeakを示した後速やかに減少し, 21週目より40週目にかけて再び漸増した.また羊水中のHCG量は, 妊娠前期において高値を示す例が多かつた.2)分娩時母体血, 臍帯静脈血及び羊水中のHCG量を測定し, 母体血と臍帯静脈血のHCG量に相関関係を認めた(γ=0.80).また新生児血中のHCGは生後16時間目で半減した.これらの成績より臍帯静脈血中のHCGは母体または胎盤由来のものと思われる.3)切迫流産患者の血中HCG量に対する尿中HCG量の割合は0.44±0.01となり, 正常妊婦の値0.80±0.12より低値であった.4)絨毛性疾患患者の血中HCG量を測定し, Follow up に利用した.経過良好な例では, 絨毛上皮腫では子宮単純全摘出術後4週間目に, また胞状奇胎では子宮内容除去術後3週間目に正常 Gonadotropin level に下降した.