著者
尾上,敏一
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, 1980-07-01

我々は,BBT表のみによる簡易かつ客観的排卵日推定法として次の様な方法を検討した.月経周期第1日より第10日までの基礎体温の平均値を求め,この上下0.1℃以内を低温相の変動範囲とした.4日連続してこの範囲を越えた場合高温相に入ったと考え,高温相に入る前日を排卵目と推定した.この方法の正確度を確認するため高感度赤血球凝集反応により連日早朝尿中LHを測定し,尿中LHピーク日(day0)を求めこれを基準として検討を加えた.なお尿中LHピークと血中のそれはよく相関することを確かめた.この方法により求められた推定排卵日は排卵の起こり得る確率の最も高いday0からday+1の2日間に36周期(69%),前後1日のズレを加えた4日間に46周期(88%)が一致した.従来の報告でも基礎体温より排卵目を推定した場合ほぼ同程度のばらつきを示し,黄体ホルモン以外の他の因子の影響を受ける基礎体温の限界とも考えられる.しかし我々の方法は,基礎体温のみから排卵日を推定せざるを得ない場合,簡易かつ客観的であるため,他の不明確な基準による排卵日推定法よりも有用であると考えられる.

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