著者
瓦林,達比古
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, 1995-06-01

妊婦のパーソナリティタイプとつわり症状の重症度との関係を解析することを本研究の目的とした. パーソナリティ分析には妊娠初期および中期にキャッテル・パーソナリティテスト (西園修正版)を用い, つわりは悪心や嘔吐の持続期間と程度により強い群 (35人), 弱い群 (41人), 無い群 (19人)の3群に分別した. パーソナリティタイプは循環気質である Aから分裂気質である Eまで5型に分類したが, つわりの程度との間には有意な相関はみられなかった. しかしながら, その中の構成因子である対人態度, 特に社交性および支配性に有意差が認められた. すなわち, 社交的な態度を好む傾向があるにもかかわらず, 人からの反対に対抗的になり, 願望通りことが運ばないと自信を失いやすく, 心から真に人に気持ちを預けて欲求不満を癒すことができにくい妊婦は, 内心の葛藤を身体言語として表現した強いつわり症状を呈することが判明した. したがって, そのような妊婦に対しては, つわりの症状を妊娠に伴う当然の身体症状でしかもつわりの出やすい体質であるというような説明をするのではなく, このようなパーソナリティの不統合性に対するカウンセリングの必要性も示唆された.

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

収集済み URL リスト