著者
藤本,啓
出版者
日本生薬学会
雑誌
生薬学雑誌
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, 1992-09-20

中国市場に出回っている漢薬・絡石藤は主として絡石Trachelospermum jasminoides (LINDL.) LEM. (Apocynaceae)または〓〓Ficus pumila L. (Moraceae)のいずれかを基原植物とし,その茎葉が薬用に用いられている.一方,中隼人民共和国薬典は絡石藤の基原植物にT. jasminoidesの一種のみを規定している.絡石藤の効能はいずれを基原とするものも同じとされ,〓風止痛,咽喉腫痛,行〓止血,通経絡などに用いられ,〓風湿薬に分類されている.これは西洋医学での抗炎症,鎮痛,解熱,血液循環促進,免疫調整などの作用に相当するものと考えられている.著者らは前報で痛風に関連するXanthine oxidase阻害活性を調べ,基原植物を異にする絡石藤にはその生理活性に相違があることを見いだした.すなわちT. jasminoidesを基原とする絡石藤の葉部にとくに高い阻害活性が認められその活性はフラボノイド成分のapigenin, luteolin, luteolin-4'-O-β-D-glucosideに基づくことを報告した.今回は絡石藤の効能に該当するスクリーニング試験として,抗炎症作用,活性酸素産生抑制作用,血小板凝集抑制作用および絡石藤を瑞息型慢性気管支炎に用いるとの報告もあることから気管平滑筋弛緩作用についての検討を行った.

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