著者
田尻,明日香
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, 2000-08-20

低脂肪スプレッドは多量の乳化剤、安定剤が添加されているため、口どけ、フレーバーリリースが好ましくない。本研究では、スプレッドの解乳化を評価する客観的な測定方法を確立し、乳化の安定性が良く口中で解乳化が生じる脂肪率20%スプレッドを調製するために、有機酸モノグリセリドを中心とした乳化剤の組み合わせの影響について検討を行い、以下の結果を得た。1.スプレッドの電気伝導度を経時的に測定することでスプレッドの解乳化を評価することができ、電気伝導度の平衡値により解乳化の度合いを推定できることが確認された。2.乳化剤としてPGPRとMG、さらに有機酸モノグリセリドを添加することにより、脂肪率20%の低脂肪スプレッドの口中温度36℃付近における解乳化が促進された。3.PGPRの濃度が高くなる程、解乳化に必要な有機酸モノグリセリドの濃度は増加し、有機酸モノグリセリドとPGPRとの相互作用により解乳化を引き起こすことが推定された。4.PGPRとMGに、さらに有機酸モノグリセリドを添加し乳化剤の総HLB値を3〜6にすることにより、乳化が不安定となり解乳化が促進されることが判明した。

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