- 著者
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葛飾北斎
- 出版者
- 東璧堂
魚屋北渓画か。東海道五十三次絵本。半紙本1冊。永楽屋東四郎刊。板元は奥付広告、巻頭の東壁堂店頭図による。淡色摺り。戸塚図に描かれた道標に「文政十三」とあり、成立は同年(1830)中か、翌年と推定される。画工は、高井蘭山の序に「前北斎為一翁」とあるが、同序にはそれ以外、『道中画譜』を連想させる口吻は認められず、他の北斎本の序の混入が疑われる。最終京図以外はすべて見開き図で、通例、見開きの左右に地名を書き入れる。各宿駅の風景を背景に、菅笠を被った旅行者を描くことが多い。本絵本は、もと臥龍園撰、呉(魚屋)北渓画の高点狂歌集『狂歌東関駅路鈴』の絵の丁だけを集め、各丁に彫り込まれた3、4首の高点狂歌を削ったものである。当館蔵の『狂歌東関駅路鈴』(請求記号:181-78 『狂歌寄波』8所収)は、「平塚」までの5丁のみの収録であるが、絵と対応する狂歌だけの丁も「平塚」までで一区切りとする。ハワイ美術館のリチャード・レイン旧蔵本に天保6年(1835)正月、名古屋皓月堂文助刊本がある。(鈴木淳)