- 著者
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十返舎一九 作・画
- 出版者
- 村田屋治良兵衛
- 巻号頁・発行日
- 1800
十返(偏)舎一九の狂歌入り江戸名所絵本。半紙本2冊合1冊。寛政12年(1800)孟春、村田屋治良兵衛板。墨摺。序、寛政12年(1800)蒼旦、十偏舎一九。前年に発行された『(夷曲)十廻松』(当館請求記号:京-321)に次ぐ。狂歌は、巻頭千首楼屋職堅丸、巻軸千穐菴三陀羅法師で、一九が所属していた千秋連による。名所は上野、日暮里、王子、神田明神、新吉原、隅田川、羅漢、亀井戸、日本橋(以上、上巻)、御殿山、堀之内、高輪、目黒不動、芝神明、愛宕山、両国橋、四日市、浅草市(以上、下巻)。2図に所出の「なめし でんがく」はじめ、「御茶づけ」「本粟餅」「しるこ ぞうに」などの食べ物屋の看板が目立つ。一九の序文に「嗚呼願有者賞讃夷曲之滑稽、而強勿難画図之功拙」と、自らの画図を謙遜するが、狂歌とよく呼応して、軽妙な草画により江戸の風趣を写している。(鈴木淳)(2016.2)