2 0 0 0 OA 黒本尊縁起

出版者

中村仏庵作、黒本尊阿弥陀如来像の縁起。仏庵自筆、写1巻。奥書によって、文政3年(1820)7月の成立と知られる。巻首題に「護国殿黒本尊阿弥陀如来縁起」とあるように、黒本尊は江戸増上寺護国殿に安置されていた、徳川家康の持念仏。仏庵の文は、もと三河国明眼寺の本尊であった黒本尊が、家康の度々の危難を救うなど、霊験あらたかであったために、家康が守り本尊とした経緯を綴ったもの。大半は、文政2年(1819)刊の『三縁山志』巻2所引の「略縁起」に拠っている。作者の仏庵は、幕府御畳大工頭で、書に優れ、書画骨董趣味でも知られる。本縁起と同様の自筆の文に、鍬形蕙斎が挿絵を描いた『黒本尊縁起絵巻』が、ニューヨーク公共図書館に所蔵される。(鈴木淳)(2016.2)

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