- 著者
-
夷福山人 作
- 出版者
- 佐野喜
文学史で言う「赤本」ではなく、後人によりまとめられた江戸後期小本「赤本/昔ばなし」8冊の内の1冊。(ただし「源平盛衰記」(寄別3-6-1-1)巻末に画作者の歌「赤本のほんにめでたし/\と又板行もあら玉の春」があるので、当時この種の作品も「赤本」と称したことが判る。)表紙は素朴ながら木版多色摺で、歌舞伎の荒事風に力紙を付け広袖を諸肩脱ぎ、青鬼を踏まえ扇を胸の前に構えた桃太郎。背景は紅地に薄紅で宝尽くしを散らし、題名「桃太郎宝蔵入(ももたらうたからのくらいり)」、版元名「佐野喜板」を記す。見返には桃と串団子の絵の上に題名、「夷福山人作」(式亭三馬の門人で江戸末期の戯作者楽亭西馬)「歌川広重画」と、版元の所在「芝神明前」も記す。上端から黄色のぼかし下げ。柱題「もゝ太郎」