- 著者
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神田玄泉 撰著
- 巻号頁・発行日
- vol.巻1-5, 1000
著者神田玄泉(?-1746)は江戸の町医師、号は一通子。本書は日本最初の魚類図譜だが、次の4種類があり、それそれ構成・所収品数・図の出来が異なる。記文はいずれも漢文。1.享保4年(1719)序本、全344品、無彩、図は劣る:当館特1-2524本は、後半の図を欠く。2.享保16年(1731)序本、全312品、無彩、流布しているが、図は劣る:当館には、特1-927本と139-127本があり、前者は魚類のみ彩色。3.享保21年(=元文元年、1736)序本、全302品、彩色、図は良好:内閣文庫に、将軍吉宗が一覧した自筆本とその転写本が残るだけである。4.元文6年(=寛保元年、1741)序本、338品、彩色、図は良好:本資料のみ知られているが、自筆本ではない。松平定信(白河楽翁)旧蔵。本資料は、冊1が淡水魚・淡水産貝類ほか、冊2が海産魚・ハゼ類、冊3が海産魚(クジラを含む)・「海虫部」(ウミガメ・カニ・エビ・ヒトデなど)・「海虫柔魚部」(タコ・イカ・ナマコなど)、冊4が海産貝類(アワビ類・二枚貝・カキ類・巻貝に分ける)、冊5が「異魚」(シュモクザメ・マンボウ・イソギンチャク・カツオノエボシ[クラゲ]など)。(磯野直秀)