著者
野口 大介
出版者
日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 = JSSE Research Report (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.23-28, 2020-06-20

高等学校化学においてよく取り上げられるナトリウムフェノキシド(NaOPh)の結晶構造データを取得し,その単分子および結晶中三次元構造を調査した。NaOPhのみからなる純結晶はNa2O2四角形単位を含む(Na2O2)nラダー型ポリマー構造を有しており,ユニークな三次元構造を形成している.一方,水和物結晶であるNaOPh・H2Oでは対イオンであるナトリウムイオンとともに水和されている様子が,さらにNaOPh・3H2Oでは結晶水によりナトリウムイオン対が解離して水に溶解したかのような状態が,それぞれ確認できる.その他の溶媒和結晶の構造からも,溶媒和に伴う(Na2O2)n構造の解離の様子が見られた.これら一連の流れを授業で効果的に展開することで,化学物質の構造や溶解現象を分子間相互作用と結び付けて生徒に理解させることが期待できる.

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