著者
磯和 壮太朗 南 学 ISOWA Soutarou MINAMI Manabu
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要, 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.285-295, 2014-03-31

本研究では、①抑うつと考え込み型反応及び認知的統制に関する先行研究の追試を行うこと、②クリティカルシンキング志向性(以下:クリシン志向性)が考え込み型反応及び認知的統制とどのような関係を持っており、どのように抑うつと関わっているのかを検討した。これらを検討することによって、クリティカルシンキング教育(以下:クリシン教育)の新たな意義と、教育を行う際に留意すべき点を見出すことが本研究のねらいである。結果として、先行研究で見出された考え込み型反応及び認知的統制が抑うつに与える影響については、先行研究の結果がほぼ支持された。また、総じてクリシン志向性を高めるよう働きかけることは抑うつを重症化させるというリスクを持っているものではないことが示された。クリシン教育を行う場合は、クリシン志向性の中でもまずは証拠を重視する志向性、偏ることなく思考しようとする志向性、そして、世の中には様々な価値観や捉え方、視点があり、そのことを意識して考える志向性を高めることが効果的であること、自分についてのクリシンは、ひとりきりでは行わずに、友人に相談したり学生相談を利用するなど、信頼できる他者と共に行うことが大切であると伝える必要があると考えられた。

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