著者
山田 萌 水口 崇
出版者
信州大学大学院教育学研究科心理教育相談室
雑誌
信州心理臨床紀要
巻号頁・発行日
vol.16, pp.115-128, 2017-06-01

視覚的な注意の調整は, 他者の視線を手がかりにするとされていた。これに対して, 他者の行為の観察も視覚注意の調整効果を有することが報告されてきた。本研究では把持行為の手がかり効果について検討した。大学生24名に対し,把持行為の画像を見せ,ターゲット刺激提示後からボタンを押すまでの反応時間 (ReactionTime: RT)を測定した。その際,視点,ターゲット刺激の一致性,手がかりの抽象度の影響を分析した。結果,視点の影響が示され,自他いずれかの視点から行為を観察するかによって調整効果が異なることが示された。さらに, 自己視点では,手がかりの抽象度によって不一致よりも一致の方が, RTが短くなり,把持手がかり効果が確認された。この点は,従来の知見と異なっていた。得られた結果について,観察した行為と結びついた脳の運動プログラムの活性化,前頭前野の運動性言語野の賦活などから考察した。

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