- 著者
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茅原 紘
中川 賢司
只左 弘治
林 俊英
米田 公生
武藤 紀生
中川 博司
- 出版者
- 信州大学農学部
- 雑誌
- 信州大学農学部紀要
- 巻号頁・発行日
- vol.33, no.1-2, pp.1-8, 1996-12-31
アラキドン酸(AA)のシクロオキシゲナーゼ系代謝産物の一つであるトロンボキサンA2(TXA2_)は,血栓症や動脈硬化症の発症に深く関与している事が知られており,近年,TXA2生合成の選択的抑制についての研究が多くなされる様になって,天然物及び合成物から活性物質が見いだされてきた。しかしハーブ類に関するこの種の研究はほとんどなされていない。本実験では従来ハーブの中で血液及び循環器系に対して何らかの効果があるとされているハーブ13種類を選出し,主としてAAによって惹起される血小板凝集の抑制能を調べた。その結果,バジル,ゲラニウム,ジャスミン,ペパーミント及びローズウッドに顕著な抑制能が観察され,ジュニパー及びネロリもかなり高い阻害能を有する事が判った。更に,ハーブ精油成分について抑制能を調べた結果,オイゲノール及びカルバクロールに強い抑制能が見られ,特にオイゲノールは0.75μMの濃度で完全に抑制した。最後に,被験物質がアラキドン酸カスケードのどの段階に作用しているかを調べた結果,シクロオキシゲナーゼの活性を抑制しているか,またはアラキドン酸に直接作用している可能性を示唆する結果を得た。 本研究は最近特に注目されだした芳香療法(アロマテラピー)の分野において,血栓症や動脈硬化症の予防および治療を目的としてハーブの種類を選択する際の指針を提供するものと考える。