- 著者
-
岡村 心平
- 出版者
- 関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻
- 雑誌
- Psychologist : 関西大学臨床心理専門職大学院紀要
- 巻号頁・発行日
- vol.5, pp.9-18, 2015-03-12
心理療法におけるメタファーの機能は、Freudの『夢解釈』以来、現在でも重要なトピックのひとつである。特に、人間性心理学分野におけるメタファーの機能について考える上で、Eugene Gendlinのメタファー論を参照することは重要である。本論文では、Gendlinのメタファー観の推移を概観することを目的として、3つのテキストを挙げる。その3つとは、“Experiencing and the Creation of the Meaning (Gendlin 1962/1997)” 、“Let Your Body Interpret Your Dreams (Gendlin 1986)” 、“Crossing and Dipping (Gendlin 1991/1995)” である。これら3つのメタファー論を俯瞰した結果、時代の推移を経て、Gendlinのメタファー観、特に状況の捉え方に変化が見受けられた。この変化は、Gendlinのメタファー観のある種の「進展」と捉えられる。最後に、この状況の捉え方により進展されたGendlinのメタファー論が持つ臨床的な特徴について論じた。