著者
西田 裕子 寺嶋 繁典
出版者
関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻
雑誌
Psychologist : 関西大学臨床心理専門職大学院紀要
巻号頁・発行日
vol.10, pp.27-37, 2020-03-16

本邦における男性の育児休業取得率は2018年度の調査ではいまだ6.16%であり、厚生労働省が向上を目指しているものの、欧米諸国と比較すると極めて低い。本稿では、男性の育児休業取得率の低さの背景に存在する制度的な課題と共に、文化的・心理的課題を明確にし、男性の育児休業取得の促進に寄与する取り組みについて検討を行った。文化・心理的背景には、性役割分業意識や、集団意識、母性原理、自己主張の仕方などがあり、こうした現状の中で男性労働者が育児休業を取得したいと主張することは非常に困難である。男性の育児休業取得率向上は、企業や労働者への育児休業取得の利点を浸透させ、制度を拡充し、義務化を検討すること、さらには親になる教育を早期に始めることなど、多方面からの政策によってはじめて可能となるであろう。

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