著者
高木 修
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.109-127, 1991-01-30

中村(1983, 1988, 1990)は,自己過程に4つの位相,すなわち,自己に注意の焦点を当てる「自己の姿への注目」の段階,注目された自己の姿の特徴を自分なりに描き出して自己を概念化する「自己の姿の把握」の段階,把握された自己の姿を評価する「自己の姿への評価」の階段,そして,自己の注目,把握,評価で活性化された自己を,他者との相互作用の中で他者に向けて表出する「自己の姿の表出」の段階の4つが存在するとしている。この論文では,「自己」,特に自己過程に注目し,その各位相において,向社会的行動と自己とがいかなる因果的関係を持っているかを検討し,「自己」の視点から,従来の向社会的行動の研究の整理と,その方向からの今後の研究の発展の可能性が考察された。

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