著者
北村 由美
出版者
関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻
雑誌
Psychologist : 関西大学臨床心理専門職大学院紀要
巻号頁・発行日
vol.11, pp.21-31, 2021-03

日本においては子ども虐待が深刻になっており、2000(H12)年に制定された「児童虐待の防止等に関する法律」(以下、児童虐待防止法)は2020(R2)年までに、児童福祉法等の関連法と合わせると8回改正されている。しかし、法律の改正がなされても児童虐待件数は減少することはなく、増加し続けている。子ども虐待が報道されるたびに児童相談所の対応のあり方が問われることが多くなっている。厚生労働省は子ども虐待については発生予防・早期発見・早期の適切な対応・被虐待児の保護・自立に向けた支援が必要と考えている。大きな事件が生じるたびに、児童相談所も国も虐待が生じてからの対応に追われているように見えるが、実は、虐待予防の仕組みを作ることが重要である。そこで、本稿では、虐待予防の仕組みを検討するにあたって必要と思われる、子ども虐待の現状について明らかにし、虐待が子どもに及ぼす影響、および、虐待に対する日本の取り組みについて述べ、子ども虐待防止に向けての課題を検討した。

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