著者
石倉 篤 清澤 亜希子 田中 雄大 原田 祐奈 堀川 優依 中田 行重
出版者
関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻
雑誌
Psychologist : 関西大学臨床心理専門職大学院紀要
巻号頁・発行日
vol.9, pp.13-22, 2019-03

若手心理臨床家には専門的職業人としての発達の段階があるが(金沢・岩壁,2006)、彼らの変化・成長過程を明らかにすることで、彼らと指導する者にとって、変化・成長を促進することにつながる。変化・成長を促すものとして、スーパーヴィジョンやケースカンファレンス以外に、相互扶助的なものが求められる。そこで若手心理臨床家同士のグループを形成し、彼らの大学院修了後の変化についてPCAGIP 法を用いて検討した。筆者らが調査対象者となりPCAGIP法を実施して、事例提供者の発言をKJ法によって検討した。その結果から、以下の5点が示唆された。第一に、職業観を形成する過程で、就職するまでは全般的な臨床場面に適応する準備をする一方で、就職した後は職場の特異性に適応していった。第二に、クライエントとの関わりを通して、一人の人間として自己開示していくことが増え、その意味を理解し、自己開示のタイミングや内容がより適切になっていった。第三に、自分の内面やクライエントとの関係性を理解するだけでなく、職場という組織・環境の中の自分とクライエントの位置を、多様な視点から理解するようになっていった。第四に、臨床家自身やクライエント自身の気持ちや考え、そして臨床家とクライエントとの関係性を、適度な距離をとりながら検討できるようになった。第五に、若手同士の関わりによって、相互扶助的な変化・成長が促された。

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