著者
西村 成弘
出版者
神戸大学経済経営学会
雑誌
国民経済雑誌 (ISSN:03873129)
巻号頁・発行日
vol.186, no.4, pp.1-18, 2002-10

外国技術の導入と技術開発はいかに結びついていたか。技術導入と技術開発に特許部門はどのような役割を果たしていたのか。芝浦製作所の特許部門はGEとの特許協定に関連して展開した。1909年協定で制度化された技術導入と技術開発の枠組みを経営発展の中に位置付ける組織として特許部門は誕生した。しかし第一次大戦までは特許部門はまだ技術開発に対して消極的な役割しか果たしていなかった。特許部門が技術導入と技術開発に対して積極的な役割を果たすようになるのは,戦間期である。1919年協定は芝浦によるGE特許の「代理由出願」を規定していた。「代理出願」業務はGE特許の英文明細書を翻訳し,検討し,日本語明細書を作成し出願する業務である。特許部門の機能拡大によって芝浦は大規模に技術情報を獲得し,技術開発にそれを生かすことができるようになった。これが戦間期の技術導入と技術開発の枠組みであった。

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