著者
張 修志
出版者
弘前大学大学院地域社会研究科
雑誌
弘前大学大学院地域社会研究科年報 (ISSN:13498282)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.23-38, 2022-03-24

1990年代以降、中国政府は社区の建設を大いに推進しはじめた。「社区」とは、「一定の地域範囲に居住する人々が構成する社会生活共同体」であり、一般的に「居民委員会とその管轄区域」を指す。中国では改革開放に伴う国営企業の解体などによって、社会構造の末端が職場=単位制から社区制に転換しつつある。そこで本研究ではまず、「単位制から社区制へ」という現代中国の社会構造の変化を捉える概念化を、単位制に遡りながら明示する。そのうえで、単位制とは異なり社区制はまだ模索の段階にあり、特に政府が主導するかたちで「ガバナンス」のモデルが模索されている段階にあることを整理する。すなわち上海、瀋陽、江漢、塩田(深圳)、銅陵、南京などを素材として、(1)政府主導型、(2)社区自治型、(3)協力型に分類し、住民参加の焦点や行政機構改革の力点の相違を明らかにする。最後に、これまでの社区ガバナンスの模索で集合住宅管理の問題が残されていることを指摘したい。

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明日の院ゼミの課題論文だが、なかなか面白い。単位から社区への移行、またはこの両者の微妙な関係性。 https://t.co/bCE0YYyoTj

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