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松尾 雄二
二年間の研究によって、次の内容から成るデータベースが完成に近いものとなった。1.Leibnizの執筆物のクロノロジカルな項目は、Akademie版全集既刊38巻42分冊(2006.3現在)すべてを加えた。翻訳は英独仏和等を対照させた。2.書簡の交信相手の索引。3.全集版等の部・巻・章の標題を示したもの。所収箇所を示す`Ak2.1,239-'だけで、この(オルデンブルグにあてた)手紙がパリ滞在中の哲学書簡として分類されていることが分かる。4.Braunschweig-Luneburg家等の系図。5.その他このクロノロジーによって、調べたいテーマに関係する人物、例えばNewton,Bernoulli,Malebranche,Bossuet等々の名前を冠する書簡や執筆物が何件あるか、年月日とともに正確に検索できる。これを手がかりとして、図書館を介して、件のページのコピー依頼による研究が可能となる。また、図書館もしくは個人の所蔵が想像されるGerhardt版、Dutens版等との対照を網羅しているので、さらには英訳等もできるだけ対照させているので、ライプニッツ研究、それも多様な視点からの研究がいっそう容易になるであろう。まだこれは対照させるべき英訳等を尽くしているわけではない。またこれから先、アカデミー版全集はさらに巻数を増すことになる。今後、定期的に追加、修正を重ねてHPを更新していくことにより、益するところも大きくなると思われる。また、人名の解説については、17世紀のドイツ諸侯国のもつ役職名と、神聖ローマ帝国(諸侯国をある仕方で統括する)のもつ役職名は、聖俗共にきわめて複雑である。さらに、聖職の邦訳語がプロテスタントとローマ・カトリックでは異なることも、事態を複雑にしている。人名解説はまだまだ未完成である。なお、本研究の一環としての徳倫理学の訳書については、J・ピーパー著松尾訳『四枢要徳について-西洋の伝統に学ぶ-』(または『四つの枢要徳』)を知泉書館から出版予定である。