- 著者
-
小西 潤子
- 出版者
- 東京都立大学小笠原研究委員会
- 雑誌
- 小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
- 巻号頁・発行日
- no.43, pp.51-70, 2020-06-30
本稿では、父島の「小笠原盆踊り」が1968 年小笠原諸島返還後、いかに形成されいかなる意味を帯びてきたのかを小笠原青年協議会の活動に注目し、1. 萌芽期、2. 返還踊り期、3. ≪小笠原音頭≫の転換期、4. 観光資源化とブランド化の4 つのフェーズから論じた。そして、返還記念祭が村民参加型エンターテインメントとしての性格を強めていったこと、返還10周年以降の記念行事開催時期の限定に伴って踊りの転換が生じたこと、国の施策によって小笠原盆踊りが観光資源化、ブランド化し踊り歌に変化が起こったことなどを明らかにした。さらに、小笠原盆踊りを巡って人々の間に「死者の歓待と鎮送」という原点回帰が起こっていることを論じた。