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日本のマーケティング研究、その10年 : 学術誌2誌10年の内容分析を通じて (1994-2004)
著者
福冨 言
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 社会科学系列
(
ISSN:02879719
)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.67-89, 2007-03
本研究は、日本のマーケティング研究の学術誌である『季刊マーケティング・ジャーナル』と『マーケティング・サイエンス』に過去10年間(1994年~2004年)において掲載された全論文を対象にその内容を分析するものである。この分析のため、各論文の執筆者が“何を説明しようとしているのか”、“その説明の際にどのような要因を重要視しているのか”について集計した。前者を“被説明変数”、後者を“説明変数”と呼び、各論文において用いられている尺度の種類とともにダミー変数を作成し、相関分析をおこなった。 その結果から、近年日本のマーケティング研究の2つの柱石を確認することができる。第1の柱石とは、“メーカーの対外的・戦略的な行動”を“メーカー間の競争や協調といった水平的関係に関する変数”と“メーカーに内在する変数”(技術や資産など)に注目して説明しようとするものである。 第2の柱石は消費者行動に関する研究である。ほぼ半数の論文が“消費者の購買行動”や“消費者の内的な特性”を説明変数としていることがわかる。特に“消費者の内的な特性”(製品知識や関与水準など)は“消費者の購買行動”を説明する際によく用いられている。ただし、消費者に関するこれらの変数を用いた実証研究はリアクティブな尺度を用いた調査に依存していることを確認した。その他の発見事実については本文中において触れる。 以上のことから、日本のマーケティング研究者の関心は、メーカーの行動と消費者の行動・特性を主要な変数とすることに集中しているといえる。この集中傾向は“マーケティングとは何か”、あるいは“マーケティング研究とはどのような研究か”という問いに対する学界の1つの回答であると同時に、日本の学界において見過ごされてきた研究課題をも示唆するものであろう。
言及状況
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