著者
勝野 美江 佐々木 敏
出版者
科学技術政策研究所 第3調査研究グループ
巻号頁・発行日
2010-12 (Released:2012-03-13)

目的:世界の健康栄養関連研究の状況を把握・分析して、日本の人間栄養学の研究基盤づくりの検討の一助とする。方法:論文データベース(Scopus)を使って、19ジャーナルを抽出し、これらジャーナルに2005~2009年に掲載されたArticleのうち、ヒト研究による栄養関連論文、動物実験による栄養関連論文を抽出した(7695論文)。これら抽出論文の分析を行うことで、研究が活発な研究機関の研究体制等について分析を行った。結果:「ヒト研究による栄養関連論文」に関しては、欧米の研究機関・大学がほぼランキングの上位を占めた。また、世界のトップ機関において栄養に関する研究は、医学部の他、農学部に栄養学部又は栄養学科が置かれて、なされている場合が多かった。「ヒト研究による栄養関連論文」の筆頭著者の所属機関の所在国別ランキングの上位30カ国のそれぞれの国内で第1位となる論文生産機関をみると、日本を含め4ヵ国以外は全て研究及び教育を行う機関であった。考察:ランキング上位国では、人間栄養学を行う拠点となる大学に、ほぼ、栄養学の学部あるいは学科があったが、日本では、上位10位以内に栄養学の学科がある大学は2機関のみであった。日本で人間栄養学を勉強したくても、現状では研究者を養成する大学(学部)・大学院が質・量ともに圧倒的に不足している。世界から長寿国として注目されている日本において、研究・教育機関たる大学(学部)・大学院で、レベルの高い人間栄養学の教育及び研究が実施される必要がある。

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