著者
佐々木 敏
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.231-233, 2018 (Released:2018-04-28)
参考文献数
10

Measurement is a base of science. No progress exists in science, without measurement. However, measurement methods on diets, i.e., dietary assessment methods, have not been fully studied in Japan. Dietary assessment methods are science much more complicated and difficult ones than we have long believed and expected. In dietary assessments, there are many factors which induce measurement errors, both randomly and systematically. Two of most important factors are day-to-day variation of diets and underreporting of diets. "Validity" of a dietary assessment method is one of the important information which shows us how we use it and how much we can believe the data obtained from it. We, all researchers who are interested in diets, should be very careful for the validity of dietary assessment methods and the high-quality validation studies should be more encouraged.
著者
佐々木 敏
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.541-549, 2021-10-25 (Released:2021-12-08)
参考文献数
7

高齢者の食の目的は単なる延命でも純粋な治療でもなく,生活習慣病の予防や管理だけでもない.生命の保持と日常生活活動機能の保持,さらには「食べる楽しみ」も目的としなければならない.本稿では,食事・栄養に関する唯一の包括的ガイドラインである『日本人の食事摂取基準(2020年版)』が高齢者の食と栄養についてどのような考え方を取り,どのような基準を定めているかについてエネルギーとたんぱく質を中心に簡単にまとめることにする.しかしながら,食と栄養のエビデンス構築は他の医学領域に比べると立ち遅れており,質の高い研究の蓄積とその正しい社会応用が急務である.
著者
菊池 有利子 武林 亨 佐々木 敏
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.724-734, 2008 (Released:2008-09-30)
参考文献数
37
被引用文献数
5 6

Objective: In the present study, we determined iodine concentration in commonly consumed foods in Japan. Methods: One hundred thirty-nine foods and beverages were purchased from local markets and convenience stores. These samples were examined for iodine concentration by using gas chromatography after ashing or extraction. Results: The iodine concentrations in various food groups were as follows, The concentrations in cereals, sugar, sweeteners, vegetables, fruit, milk, and meat were too low to be detected (<0.05 mg/100 g). The iodine concentrations of algae and dashi (Japanese broth or stock) from algae were <0.05–225 mg/100 g; Japanese seasoning, <0.05–10.5 mg/100 g; and iodine-rich eggs, 1.09–2.00 mg/100 g. Conclusions: Food and beverages with high iodine concentrations need to be taken into account in the nutritional survey for health hazards and benefits in the evaluation of daily nutritional intake.
著者
佐々木 敏光
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.94, no.3, pp.131-151, 2021-05-01 (Released:2023-02-19)
参考文献数
20
被引用文献数
4

本稿では,和歌山県椿山ダムの建設により水没移転を余儀なくされた人々が移転先をどのように決定したかを,属性,およびそれ以外の要因にも焦点を当てながら解明することを目的とする.ダム建設計画が発表されると,水没予定地区の住民は反対運動を起こしたが,すぐに条件闘争に切り替えた.補償交渉の過程での意見対立は人間関係の悪化を招き,地元ダム対策組織が分裂と再編成を繰り返す事例が見られ,移転先の意思決定に大きな影響を与えた.水没移転者のほとんどは,住み慣れた地域の近くに移転した.新たに仕事を見つけるには高齢で,そのため,移転前と同じ仕事に従事することを望んだことによる.林業経営者も,事業継続のため近隣地域に移転した.水没移転を人口移動の一つとしてとらえ,水没移転者の属性,人間関係等のファクターに注目しながら移転先の意思決定に至るプロセスの分析を行った結果,複数の移転パターンが明らかになった.
著者
佐々木 敏弘 崎山 一幸 弘田 泉生 藤田 篤志 山下 秀和 大森 英樹
出版者
パワーエレクトロニクス学会
雑誌
パワーエレクトロニクス研究会論文誌 (ISSN:09167269)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.27-34, 1998-10-01 (Released:2010-03-16)
参考文献数
2

Simulation technique is quite effective for the most optimized design of an induction-heated(IH) cooking appliance in which both electromagnetic field and thermal flow require to be controled. We developed the system of nonliner analysis for electromagnetic field and thermalfluid by finite element method. By this system it is possible to simulate the behavior of electromagnetic field which causes induced currents and the behavior of thermal fluid simultaneously. This paper presents the results of performance evaluation for the new IH rice cooker as one of the applications of this system.
著者
佐々木 敏
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.53-59, 2017 (Released:2017-04-27)
参考文献数
6
被引用文献数
2

『日本人の食事摂取基準』は, 厚生労働省から出されているガイドラインのひとつであり, 食事・栄養に関するわが国で唯一の包括的ガイドラインである。「日本人の食事摂取基準 (2015年版) 」は, 全344ページからなり, 巻末に添えられた2つの参考資料まで含めると440ページにも及ぶ。食事摂取基準は, 栄養と食事に関するわが国で唯一の包括的なガイドラインである。今回の改定では数値の変更は比較的に少ない。一方, ガイドラインとしての位置づけをより明確にし, 活用方法について特にその理論的視点が詳述されている点が特徴である。本稿では, 日本人の食事摂取基準 (2015年版) の概要を紹介するとともに, 食事摂取基準の学問的および実務的意義について, ガイドラインという観点から簡単な考察を加える。
著者
辻 とみ子 青山 頼孝 武山 英麿 橋本 和佳 佐々木 敏 川田 智恵子 青山 頼孝 武山 英麿 橋本 和佳 佐々 木敏 川田 智恵子
出版者
名古屋文理大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

地元小学校の6年生に食育支援介入研究を実施した。6年生を対象に「みんな元気だ!朝食パワー」単元構想図(68時間完了)のうち、家庭科と学級活動の時間を使って、9時間を本研究に充当した。3回シリーズで朝食に地産地消を取り入れた出前授業やわが家の自慢の朝食レシピを完成させ、調理実習でスキルを習得させた。子どもたちは「私食べる人」から、「時には私作る人」へと改善した。このプログラムを通して、子から家族へと食生活が改善でき、その変容が継続していることが成果である。
著者
高松 道生 柳沢 素子 町田 輝子 松島 松翠 飯島 秀人 中沢 あけみ 池田 せつ子 宮入 健三 矢島 伸樹 佐々木 敏
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.595-602, 1999-11-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

こんにゃくのコレステロール低下作用について検討し, その健康食品としての意義を明らかにする研究を行った。こんにゃくの成分であるグルコマンナンをチップ化して煎餅状に加工 (以下, マンナン煎餅) し, 総コレステロール200mg/dl以上の当院職員と正常範囲内の当院附属看護専門学校寄宿学生を対象に, 脂質代謝への影響を調査した。毎食後に煎餅を摂取し, 試験期間前後に脂質を中心とする血液検査を行ってマンナン煎餅の脂質代謝への影響を評価した。その結果, マンナン煎餅を摂取する事によって総コレステロール値の低下が認められ, 試験前総コレステロール値の高い群ほどその低下の度合いが大きかった。HDLコレステロールや中性脂肪への影響は認められなかった事から, マンナン煎餅はLDLコレステロールを特異的に低下させる作用を有するものと考えられた。血算や生化学などの検査値には変化を認めず, 腹満や下痢などの消化器症状が一部に観察されたものの, 重症なものではなかった。一方, 試験前後の体重に差はないものの試験期間中の総摂取エネルギーや脂質摂取は減少しており, マンナン煎餅を摂取することが食習慣に影響を与えた事が示唆される。以上から, こんにゃく (グルコマンナン) は直接・間接の作用でコレステロール, 特にLDLコレステロールを低下させ, マンナン煎餅が健康食品として意義を有するものと考えられた。
著者
佐々木 敏
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.291-296, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
7
被引用文献数
3

『日本人の食事摂取基準』は, 厚生労働省が公開しているガイドラインのひとつであり, 食事・栄養に関するわが国で唯一の包括的ガイドラインである。本稿では, 総論のなかで今回の改定 (2020年版) で特に強調された点を紹介するとともに, 今後の食事摂取基準の策定も見据えて, 栄養学研究の役割や食事摂取基準との関係性について, 考察を加えることにする。今回の改定では, 数値の改定は最小限に留まっているものの, 指標の定義が再整理され, その詳細が説明されている。また, 食事摂取基準活用時に必要となる食事アセスメントに関する知識や知見などについても詳述されている。さらに, 食事摂取基準の策定方法に関する課題, 特に系統的レビューならびにメタ・アナリシスの利用における課題についても触れられている。総論の中でもっとも注視すべき記述は, 「我が国における当該分野の研究者の数と質が食事摂取基準の策定に要求される能力に対応できておらず, 近い将来, 食事摂取基準の策定に支障を来すおそれが危惧される。」という一文であろう。栄養学研究に携われる者がこの問題を真摯に取り上げ, 積極的に対応することを期待したいところである。なお, 本稿は政府の公式見解を述べたものではない。
著者
佐々木 敏
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.763-768, 2010 (Released:2010-07-05)

昨年(2009年)、厚生労働省から「日本人の食事摂取基準(2010年版)」が発表された。2010年版は2005年版で示された考え方が踏襲されているが、数値の時代から理論・理屈の時代に、そして、活用は数値をあてはめる時代から考える時代に入ったという印象を強く受ける記述になっている。食事摂取基準の基本的な考え方はほとんどが「総論」で記述されている。「総論」の特徴をあげるとすれば、「活用の基礎理論」が盛り込まれたこと、活用目的が3種類に分けられて記述されたこと、そして、アセスメントの重要性が強調されたことであろう。これで現場が食事摂取基準をじゅうぶんに活用できるかといえば、そこまでは至っていない印象が強いが、それでも、栄養管理業務が医療業務のひとつであり、「科学」であるとすれば、食事摂取基準の理論、特に、総論の内容は栄養管理に携わる者が必ず理解していなければならないことは明らかである。
著者
星野 宏司 角田 和彦 佐々木 敏 蓑内 豊 武田 秀勝
出版者
日本スキー学会
雑誌
スキー研究 (ISSN:1349449X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.47-53, 2013 (Released:2018-02-08)
参考文献数
20
被引用文献数
4

Alpine skiers require both aerobic and anaerobic capacity particularly for knee extension and flexion muscle strength. As for most all athletes, lactic acid removal is of utmost importance. In past studies, athletes from various disciplines have had their anaerobic power test measured using the power max VⅡ, but these studies were limited to only three parameters: body weight per peak power(watt/kg);peak revolution(rpm);and peak weight load(kp).However, the data generated was not very useful for elucidating discipline specific characteristics. With that in mind, we felt it necessary to search for more meaningful parameters that could possibly distinguish between speed and strength type muscle power and their relative contributions for peak performance in a range of disciplines. We studied such parameters in alpine skiers and found that they do indeed provide extremely useful data that can be used to better fine tune their training regimen. This study consisted of 97 subjects in three categories: ALP; 32 alpine skiers, XC; 39 cross-country skiers, and a control group of 28 fit but not athletically competitive adults. The average max power outputs for each group were as follows: ALP group 14.8±1.5watt, XC group 13.9±1.4watt, CONT group 13.1±1.5; anoxia values for the power tests anoxia characteristics are not shown as the results are obvious(ALP>XC>CONT). The observed strength to speed ratios varied significantly among the three groups: ALP>XC>CONT, with only the CONT ratio being below 1. This suggests that for alpine skiers the best training regimen should focus heavily on developing power in strength type muscles.
著者
千葉 百子 稲葉 裕 篠原 厚子 佐々木 敏 下田 妙子 金子 一成
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

カザフスタンとウズベキスタンに跨るアラル海は琵琶湖の100倍、世界第4位の画積だったが、現在は約1/4の面積となり、20世紀最大の環境破壊といわれる。その結果、強い砂嵐が北西から南東にかけて吹くなど、気候変動も起きている。アラル海東側には原因不明の健康障害を訴える住民が増加した。2000年からこの地域の疫学調査に着手した。罹患率の高い貧血、呼吸機能障害、腎機能障害に関してその原因究明を行ってきた。腎機能に関してカドミウムによる障害ではないかと考えた。生体、食事、環境試料を分析したがカドミウムが原因とは考え難い。これまでに世界各地で採取した多数の飲料水を分析してきたが、この地域の飲料水中にはかなりのウランが含まれているものが多かった。そこで本研究ではウランを中心に健康被害調査を行った。2004年9月にクジルオルダ州の2村で無作為抽出した218名の学童を対象に調査を行った。そのうち155名が2005年2月の調査にも応じてくれた。対象学童から飲料水、尿、血液の提供を受けた。飲料水中ウラン濃度の高いものは約40μg/L、低いものは検出限界以下であった。全例の飲料水中および尿中ウランの相関係数はr=0.263であった。尿中クレアチニン(CR)濃度がウラン濃度と平行して増加していた。尿中蛋白濃度はウラン濃度の増加に伴って上昇したが(r=0.272)、NAGおよびβ2ミクログロブリンはウラン濃度と無相関であった。尿中の元素でウランと相関があったものはヒ素(r=0.608)とチタン(r=0.650)であった。飲料水中で有意な相関があった元素はストロンチウム(r=0.800)、鉄(r-0.719)およびカルシウム(r=0.719)であった。飲料水中ウランと腎臓機能障害の指標(NAG、β2MGなど)と直接関係するか否か今後も検討を続ける予定である。
著者
西海枝 恵 大枝 豊 小山 康宏 丹野 美紀 青沼 一岳 志賀 有香 川口 博史 佐々木 敏紘 梶原 克夫 倉品 敏 石川 歩 相澤 修大
出版者
仙台市科学館
雑誌
仙台市科学館研究報告 (ISSN:13450859)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.13-16, 2021 (Released:2021-03-30)

新型コロナウイルス感染症対策のため,小学校中学校高等学校等が一斉臨時休業となり,仙台市科 学館も休館となる中,仙台市科学館では動画を制作し配信した。
著者
渡邊 智子 安井 健 田中 敬一 布施 望 鈴木 亜夕帆 佐々木 敏 山下 市二 安本 教傳
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.314-320, 2011-03-30 (Released:2011-04-27)
参考文献数
10
被引用文献数
3 4

The principal 705 Japanese foods were selected from the Standard Tables of Food Composition in Japan — 2010 — (Standard Tables) because these foods are known to contain available carbohydrates including starch, glucose, fructose, sucrose maltose and/or lactose. Individual available carbohydrate contents were calculated and tabulated based both on the estimated saccharide (carbohydrate minus dietary fiber) content of each selected food in the Standard Tables and the starch and sugar content of the food included in The McCance and Widdowson’s The Composition of Foods, USDA National Nutrient Database for Standard Reference and other sources. Because the compiled tabulated form, the Japanese Starch and Sugars Presumptive Composition Tables (JSSPCT), is harmonized with the Standard Tables, one can utilize the data in the JSSPCT as a reference for research and other purposes until and after the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology or other national organization publishes the official tables for available carbohydrate composition of foods in Japan.
著者
高野 順子 秋根 大 佐々木 敏 香山 不二雄
出版者
自治医科大学
雑誌
自治医科大学紀要 (ISSN:1881252X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.233-241, 2006

心理状態と食品摂取の間に相関関係があるのか調べるため,平成14年9月に栃木県南河内町の中学校2年生200名を対象とし,多枝選択式による自記式食事調査票と心理状態に関する質問票の2種類のアンケート調査を実施し52%の有効回答を得た。データはプログラムBDHQL2を用いて算定し,食生活の傾向は食品摂取頻度および栄養素摂取量の2つのパラメーターによって評価した。心理状態と食品摂取との関係では,「カッとしやすさ」と「醤油・ソース頻度が高いこと」・「外食と比べたおかずの量が少ないこと」とに,同じく「イライラ感」と「骨ごとの魚食べる頻度が少ないこと」・「主食のある朝ご飯を食べる頻度が少ないこと」とに,「根気のなさ」と「骨ごとの魚頻度が少ないこと」・「海草摂取量の少ないこと」とに,「疲れやすさ」と「キャベツの摂取量の少ないこと」と・「きのこ摂取量の少ないこと」とに,「登校忌避感」と「生サラダ(レタス,キャベツ,トマト除く)を食べる頻度の少ないこと」・「主食のある朝ご飯を食べる頻度の少ないこと」に,相関が認められる結果となった。また栄養素に関しては「疲れやすさ」において「灰分」・「ナトリウム」・「ビタミンC」・「n-6系脂肪酸」・「多価不飽和脂肪酸」・「n-3系脂肪酸」と負の相関が見られる結果となった。