著者
川島 真
巻号頁・発行日
2006-04-22

本報告では、中国・台湾での档案史料(図書資料などにも言及する)の状況について、その所蔵・公開状況、档案行政について、利用者の目線で紹介した上で、またそれらの意義付け、アクセスにまつわるさまざまな課題についても触れていきたい。 周知のとおり、中国・台湾の档案の状況については、数多くの史料紹介文が公刊されている(坂野正高、金丸裕一、貴志俊彦、富澤芳亜、中村元哉、川島真。媒体としては『近きに在りて』、『中国研究月報』など)。特に中国東北部については、層の厚い史料紹介がなされてきた(中見立夫、井村哲郎ら。媒体としては『近現代東北アジア地域史研究会NEWS LETTER』など)。また、図書資料についても多くの紹介文が記され、日本語史料、あるいは日本関連史料については、九州大学の松原孝俊、国際日本文化センター(笠谷和比古、ブックロード)、また東京大学史料編纂所(保谷徹、東アジアの日本関連史料調査)などにより調査が進められてきた。 また、こうした档案や図書を、日本と中国、日本と台湾などで協力して整理、目録化、デジタル化するような事例も多く見られるようになっている。台湾では、中京大学の檜山幸夫のグループが国史館台湾文献館の台湾総督府文書の目録化、また整理(所在確定、復元作業)に携わり、国立台湾大学図書館では国文学研究資料館史料館との協力関係が見られる。中国でも、吉林省档案館とNHKの間のラジオ放送録音盤のデジタル化、第一歴史档案館と東京大学史料編纂所の間の档案のデジタル化計画などが挙げられる。 こうした変容過程の中で、多くの档案や档案館、図書や図書館に関する情報が数多く日本に流入し、人的交流も活発になっている。また、中国、台湾などでの政治改革、経済発展、ひいては社会変容の中で、当地の档案などが置かれている状況も急速に変化してきている。こうした中で、新しい問題、課題などもうまれてきているように感じる。ここでは、そうした論点もふまえながら議論を進めていきたい。

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台湾総督府文書を調べたい。

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