著者
三好(橋本) 道子
出版者
北海道大学大学院教育学研究科
雑誌
北海道大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13457543)
巻号頁・発行日
vol.98, pp.1-35, 2006-06-30

これまで,表情認識に関わる研究のほとんどは静止画像を用いて行われており,動きを伴う表情変化の処理については詳しく検討されていない。本研究では,事象関連脳電 位(ERPs)を指標とし,表情の動きの知覚を誘発する表情変化に対する電位反応を測定した。その結果,真顔から笑顔への表情変化に対しては,刺激の物理的変化量の違いや選択的注意を向けるか否かに関わらず,N 170成分がより陰性にシフトした。さらに真顔から怒り顔への表情の変化に対しては,真顔から笑顔への表情の変化と比較して,より早い潜時帯から電位の陰性のシフトが生じることが示された。N 170は顔認識過程における最も早い知覚処理段階を反映し,静止画表情に対しては感度がないことが示されていることから,静止画表情と比較して表情変化の処理が促進されること,さらに脅威信号となる真顔から怒り顔への表情の変化に対しては,より迅速な処理が行われることが示された。

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表情変化知覚に関する心理生理学的研究
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