著者
松井 尚子
出版者
北海道大学大学院教育学研究科
雑誌
北海道大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13457543)
巻号頁・発行日
vol.98, pp.237-250, 2006-06-30

乳幼児の「自己」形成の問題は,他者との関係性をはじめとする,自己および他者表象など,発達上の根幹的な事柄を含む問題である。又この問題は,発達・療育相談の場においては極めて日常的な課題として立ち現れてくる。本論文では,ダニエル・スターン(Stern, D.)とアンリ・ワロン(Wallon, H.)の自己感,あるいは自我意識に関する論考を読み取りの手がかりとしながら,この問題への接近を試み,6ヶ月から3歳後半までの乳幼児の日常的なエピソードを「自己」意識の観点から検討し,日常場面の捉え直しを仮説的に提起した。最後に,スターンとワロンの論考を,乳児像の捉え方,関係性の捉え方,表象の問題の,3つの観点から比較検討した。

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