著者
松浦 和代
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.109, pp.93-107, 2009-12-21

新人看護師の職業性ストレス反応が,自己決定型学習の準備性によって受ける影響度を,他変数との比較から明らかにすることを目的とした。対象は新人看護師233名,調査方法は無記名自記式質問紙法であった。調査内容は,個人要因,職業性ストレス,および自己決定型学習の準備性を測定する尺度(日本語版SDLRS)から構成した。その結果,心理的ストレス反応要チェック群は24.5%,身体的ストレス反応要チェック群は18.0%であった。両ストレス反応要チェック群は全体の9.9%を占めており,これは新人看護職員の入職後1年以内の離職率9.3%に近似する値であった。また,自己決定型学習の準備性の高さは,(1)心理的ストレス反応の抑制要因であり,(2)心理的ストレス反応要チェック群を判別するうえで指標となる5要因のひとつであった。さらに,先行研究との比較から,新人看護師は看護学生よりも自己決定型学習の準備性を低下させており,入職後1~2年間はこの能力が上昇に転ずることはなく,特に学習への愛着・エネルギッシュな自己イメージ・将来に対する前向きな姿勢の3因子が低いことが特性であった。これらの点を根拠とした新人看護師の入職後早期離職防止対策が重要である。

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