著者
山村 高淑
巻号頁・発行日
2010-06-27

ここ数年来、観光形態の多様化、産業構造の変化、地域振興のあり方に関する議論の高まりなどの背景もあり、サブカルチャーを活用した観光産業・地域振興に対して全国的な注目が集まるようになりました。特に、我が国のアニメ・マンガは、国際的に高い評価と支持を得るに至っており、海外の若い世代の来日動機を醸成する大きな力になっています。にもかかわらず、国内においては、こうしたサブカルチャーに対する偏見が依然として強く、「文化資源」や「観光資源(人々を地域に呼び寄せる磁力)」としての評価は、ほとんどと言ってよいほどなされていません。ですから、特定企業のキャラクタービジネスの成功事例は多くあっても、実際に地域側・制作側・旅行者(ファン)が協力して、地域振興(経済・社会・文化の各面で豊かになっていくこと)や地場産業振興(既存産業の底上げ)を実現している例はごくわずかしかありません。このような背景を踏まえ、今回は、アニメ・マンガのコンテンツ(以下、アニメコンテンツ)を用いたまちおこし(地域振興・産業振興)に先駆的に取り組まれている関係者にご登壇いただき、地域とアニメコンテンツが結びつくことで、何が可能なのか、「文化資源」「観光資源」「まちおこしのきっかけ」としてのアニメコンテンツの可能性と課題について、多角的に考えてみたいと思います。アニメコンテンツと観光振興というテーマに関して、内外で関心が高まる中、「マンガ・アニメフェスタ」のプログラムの中に、「観光創造フォーラム」の場をご提供頂いた関係者各位に心から御礼申し上げます。本フォーラムが、アニメ・マンガを愛する全ての人々が、楽しく、気持ち良く地域を訪れ、そして地域に新しい文化が創造されていくきっかけになることを願ってやみません。

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@carcru_net 横スレ、失礼致します。 m(_ _)m この記事の左横の北海道大学観光学高等研究センター教授の山村高淑先生は常々『制作者、地域、ファン三方良し』を提唱されております。 詳しい内容はこちらをご照覧くださいませ https://t.co/2yjW2PYjtb 画像は山村先生の提唱「トライアングル・コンセプト」です。 https://t.co/yhnmaxZIg0

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