著者
岡本 健
出版者
関西学院大学社会学研究科
雑誌
KG/GP社会学批評 別冊: 共同研究成果論集 / 山北輝裕・谷村要・稲津秀樹・吹上裕樹(編) pp.77-95
巻号頁・発行日
2011-02

本論文では,情報社会において旅行者と他者とのつながりがどのように創出されるのかということについて,ネット上のコミュニティオブインタレストと地域社会の地域コミュニティの出会いの場を形成しているアニメ聖地巡礼を事例として議論する.アニメ聖地巡礼は,アニメの背景に描かれた場所を聖地としてそこを訪ねる行為であるが,実際の地域に足を運ぶことから,地域住民と関係性を構築し,地域振興に展開する場合がある.本論文では,そのような展開が見られた埼玉県北葛飾郡鷲宮町を事例とする.特に,鷲宮町で催行される土師祭で「らき☆すた神輿」が登場したことに着目し,その発案や実施の経緯,担ぎ手への聞き取り調査や質問紙調査の結果を分析する.その結果,情報空間,現実空間の双方で多様なコミュニケーションがなされ,つながりが創出されていることが明らかになった.無論,このつながりは自動的に出来上がったわけでは無く,地域側が様々な形でファンの価値観を認めていることを発信し,ファンもそれに応えた結果であった.これは,ファン同士が現実空間で集まる「オフ会」とは異なる性質を持つ.特定の地域に身体的に赴く,という観光の機能によって,地域コミュニティの成員とのつながりが形成され,社会関係資本化している.いわば,つながるはずの無かった人々同士のつながりの形成であり,新たなコミュニティのあり方を提案した実践であると言えよう.

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新たなつながりを創出する情報社会の旅行コミュニケーション : コミュニティオブインタレストと地域コミュニティの出会い : HUSCAP http://t.co/Hh1A6Cid
アニメ聖地巡礼をきっかけとして様々な人とのつながりが生まれていく。そのことを論じた論文。「新たなつながりを創出する情報社会の旅行コミュニケーション ―コミュニティオブインタレストと地域コミュニティの出会い」http://t.co/8247bLxj
アニメ聖地巡礼とオフ会の違いについて述べた論文。関学の院生が中心になって作った論集に掲載されています。「新たなつながりを創出する情報社会の旅行コミュニケーション:コミュニティオブインタレストと地域コミュニティの出会い」 【ダウンロード】http://t.co/8247bLxj
アニメ聖地巡礼と人と人とのつながり構築に関して書かせていただいた論考。「新たなつながりを創出する情報社会の旅行コミュニケーション : コミュニティオブインタレストと地域コミュニティの出会い」http://t.co/824bJlGt
@kinsan1019 ソーシャルキャピタル、重要ですね。南小樽の時にお渡しした論考では、ちょっと触れてみています。また、ご意見いただきたいです!以下URLからもDLできます。http://hdl.handle.net/2115/44957
情報社会におけるまちおこしを考えた論文。らき☆すたの聖地鷲宮の実践「土師祭」について整理「新たなつながりを創出する情報社会の旅行コミュニケーションタイトル: コミュニティオブインタレストと地域コミュニティの出会い」http://hdl.handle.net/2115/44957
「新たなつながりを創出する情報社会の旅行コミュニケーション 」は、関西学院大学の「KG/GP社会学批評 別冊」山北輝裕・谷村要・稲津秀樹・吹上裕樹(編)に掲載されたものです。下記URLよりダウンロードできます。http://hdl.handle.net/2115/44957
災害で大変な時ですが、社会におけるつながりを考慮に入れた観光論を公表しました。タイトルは「新たなつながりを創出する情報社会の旅行コミュニケーション 」。下記URLよりダウンロードしてご覧いただけます。http://hdl.handle.net/2115/44957

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