- 著者
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宋 美蘭
- 出版者
- 北海道大学大学院教育学研究院
- 雑誌
- 北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
- 巻号頁・発行日
- vol.114, pp.77-99, 2011-12-27
【要旨】今日の韓国における学力問題の一つは,教師による,生徒への教育的働きかけが画一的になりやすく,生徒一人ひとりの可能性を引き出すための工夫が必ずしも十分ではない,という結果と,もう一方では,学校組織において主に教師によって行われる教育実践と,親などが意識的・無意識的に行う子どもへの働きかけとが相殺し合って,「負の効果」をもたらしていることにある,と考えられる。
本研究の結果から,一般校,とりわけC校やF校で水準別教育が生徒の学力向上に一定の効果をあげていることは,必ずしも「水準別教育」によるものではなく,その学校・生徒の実情にあう授業改革・工夫,とくに「共同体型授業」によることが明らかになった。平準化政策がもたらした学校内学力格差の縮小には,生徒一人ひとりの諸状況・実態を踏まえた,共同体型授業の推進が有効であり,それが韓国の教育・学力問題の一つを解決する,ひとつの手がかりになると考えられる。