- 著者
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石川 美澄
- 巻号頁・発行日
- 2012-07-21
近年、比較的低料金で宿泊可能な宿「ゲストハウス」の増加が指摘されている。ゲストハウスは安宿と言われる一方で、地域の人々と旅行者との接点を創出したり、個々人の居場所や遊び場となっていたりする。このような現象は、宿の役割や社会におけるツーリズムの意義を考察する上で示唆に富むと考えられる。しかしながら、ゲストハウスを事例にこのようなアプローチをとる観光研究は、発表者が管見した限り見当たらない。本発表では、ゲストハウス増加の要因とその開業・運営プロセスの分析を通じて、なぜ、今、ゲストハウスが増加し、特に若年層を中心に受け入れられているのかを明らかにする。その上で、ゲストハウス増加からみえる社会的課題、とりわけコミュニティの空洞化とツーリズムに関わる課題と可能性について考察する。