著者
石川 美澄
出版者
観光学術学会事務局(地域・研究アシスト事務所内)
巻号頁・発行日
2012-07-07

本稿の目的は、新聞記事分析を通して、「ゲストハウス」と称される施設や場所の変遷を整理することである。その上で、その1つであるゲストハウスやバックパッカーズなどと呼ばれる比較的低廉な宿泊施設(以下、宿泊型ゲストハウスとし、宿泊施設以外の意味を含む場合はゲストハウスとする)の特性を仮説的に提示する。近年、新聞記事を中心に、宿泊型ゲストハウスの増加が指摘されている。一方、国内の観光研究分野や観光庁が実施する調査では、このような指摘や報告はほとんど確認できない。したがって現時点では、メディアが語る「宿泊型ゲストハウス増加説」を学術的に証明することは困難であると同時に、その増加の社会的背景などについても不明瞭であると言わざるを得ない。しかしながら、低料金で1名から宿泊することができ、泊食分離が実践されている宿泊型ゲストハウスは、宿泊旅行をより身近で気軽・容易なものにする可能性がある。特に、宿泊型ゲストハウスは、旅先での自然・文化資源だけでなく、地元の人びとや他の旅行者との出会いを創出する場として地域に存在しうる点が、今後の観光のあり方を検討する上で示唆に富むと考えられる。なお、本稿の目的を達成することで、今後の宿泊型ゲストハウスを事例とした観光研究の基礎的資料を提示できる。

言及状況

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@chashibaku_inn 検討してみます!笑 軽く先行研究がないか調べてみましたが、施設設備の変遷やエリアが限られている研究が多い感じですね、、 ↓では、2012年と古いものになりますが、ゲストハウスの意義の変遷がちょろっとまとまっています
こつこつとやるしかないですね。なにせ、これまであまり調査・議論されてこなかった対象(現象)なので。「ゲストハウス」と称される施設・場の変遷に関する調査報告 : 新聞記事の分析を通してhttp://t.co/vOcsbKDL

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