著者
室橋 春光
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.124, pp.13-31, 2016-03-25

「学習障害」は,生物学的基盤をもち社会的要因を強く反映する,学習に関する包括的用語とみることができる。学習とは,適応の齟齬を修正し,自らの活動の仕組みを変容するあり方(狩野,1967)である。生物学的基盤として,様相の異なる知覚処理を縮約し統合することに関する,出現頻度のより低い脳内ネットワークの存在があると想定し得る。恐らく大細胞系機能の関わる背側系経路の機能的脆弱性があり,文脈促進のありかたには非平均的処理が具わる。「障害」の基準は,社会的「平均」からの逸脱の度合により規定されるが,時代と文化の影響を強く受けて「障害」的表現型をもつ。「学習障害」に関連する中間表現型が,「強み」の表現型となるような教育が求められる。

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#アシバース 第37回資料 私が敬愛している室橋先生が認めた論文をもとに、実行機能と発達障害の関係性について、ツリーをぶら下げておきます。 信頼性を確保するために適宜引用していきますが、間違いなどがありましたら遠慮なくご指摘下さい。 https://t.co/39fDT3ceGR

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