著者
戸川 和成 TOGAWA Kazunari
出版者
Master's and Doctoral Programs in International and Advanced Japanese Studies, Graduate School of Humanities and Social Sciences, University of Tsukuba
雑誌
国際日本研究 = Journal of International and Advanced Japanese Studies (ISSN:21860564)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.23-38, 2018-02-15

従来の政策満足度研究では、市民レベルの政策満足度の規定要因の検証が主流であるが、本研究では東京の特別区の中で、なぜ、政策満足度に地域偏差が生じるのか、政府規模の問題から議論し、ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)論およびネットワーク・ガバナンスにおけるメタ・ガバナンスの視点から定量的分析を行った。つまり、政策満足度から地域社会運営(ローカル・ガバナンス)を評価し、公共政策研究の中に市民社会要因を位置づけた上で分析を行った。その結果、小さな政府であるほど政策満足度が高く、市民社会組織と政府のガバナンス・ネットワーク、地域コミュニティのソーシャル・キャピタルに富んだ地域ほど地域社会運営が成功している。加えて、政府が市民社会組織との関係の仲介役を担っているほど、政策満足度が高い。つまり、本研究ではガバナンス時代の地方政府において、特別区の政策満足度の地域差の問題には市民社会要因が関係しており、規模が小さくとも政府の活動領域に市民社会組織が参入しているほど、政策満足度が高い。特別区におけるグッド・ガバナンスの達成には、ソーシャル・キャピタルに下支えられた市民社会組織をとりまく地方政府の社会的調整機能が欠かせないことが明らかとなった。

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