- 著者
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矢野 友加里
川原崎 雅敏
- 出版者
- 電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
- 巻号頁・発行日
- vol.J93-D, no.3, pp.265-281, 2010-03-01
本研究では,日本音楽著作権協会(JASRAC)等を訪問し,音楽利用に関する著作権使用料徴収・分配の現状について調査を行った.その結果,インタラクティブ配信の領域において,楽曲利用の報告が不十分なために著作権使用料の徴収・分配精度が低く,決定的な対策がとられていないことが分かった.本論文では,インタラクティブ配信の中で違法な楽曲流通が多いP2P(Peer-to-Peer)ネットワークによるユーザ間の音楽共有に対して,現在行われている不正流通の監視ではなく,著作権処理を行わせた上で,合法的にP2Pネットワークで楽曲を流通させる方式を提案する.提案方式では,P2Pネットワークでの楽曲流通を管理するために,著作権管理サーバと呼ぶサーバを置く.また,ユーザが流通させる楽曲の特定に,放送番組の利用楽曲特定に実用化されつつあるオーディオフィンガープリント(AFP)を利用する.各種のP2Pネットワークで流通する楽曲について,AFP技術を用いた著作権処理の所要機能を明らかにし,諸機能をユーザPCとサーバの連携によって実現する著作権処理プラットホームの提案と評価を行う.更に,AFPによる楽曲特定をリアルタイムで行うためのAFP照合システムについて,各種サーバ分散処理方式の性能解析を行い,AFP照合に伴うユーザ待ち時間を合理的な範囲内に抑える分散形態を明らかにする.