- 著者
-
横山 泉
- 出版者
- 東京大学地震研究所
- 雑誌
- 東京大學地震研究所彙報 = Bulletin of the Earthquake Research Institute, University of Tokyo (ISSN:00408972)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, no.1, pp.17-33, 1954-06-30
三原山の1950年の噴火以来,地球磁場の変動を出来る限りの高い精度で,しかも長期にわたつて観測し,その資料を集めるよう努力してきたが,第3報に続いて,1953年10月までに行われた一連の伏角測量と偏角変化の連続観測との結果をとりまとめて報告した.地磁気変化と火山活動との関係を吟味すると,推論は当然,地下の状態に及ぶのであるが,そのためには火口から溢出した熔岩の磁気的効果を考慮せねばならぬ.4回にわたる全島伏角測量を比較すると,1950年の噴火に際して生じた著しい伏角の減少はある程度回復したように思われる.又,1953年10月の小噴火に際しても,僅かではあるが,伏角の減少が確認された.野増村に設けられた偏角変化計の記録から,15日平均を求め,柿岡地磁気観測所の値を基準として,その変化の模様を調べると,火山活動と偏角変化との間に有意な関係があるように見える.又島全休としての偏角変化の傾向を調べるために,1951年5月の観測結果と,1953年8月のそれとを比較すると,地下にあらたに帯磁が生じたような変化を示している.この量的な吟味は次報で行う予定である.