著者
相田 勇
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.367-390, 1981-09-30

地震断層モデルを波源とする津波数値実験が,東海道沖においても有用であることは,1944年東南海津波の例によって認められた.ここでは数値実験によって,1854年安政東海津波,1707年宝永津波,1605年慶長津波,1498年明応津波の波源断層モデルのパラメータを求めた.いずれも東海道に問題を限って議論される.この中,安政,宝永津波については,かなり信頼度の高いモデルが確定された.しかし慶長,明応津波については,史料の乏しいことなどもあって,信頼度が低いことは否めない.これらの津波の特徴を比較すると,地域によっては明応津波が最も高く,災害予測の面から見落すことのできない津波であると考えられる.また局地モデルによる清水港の陸上遡上計算の結果,防波堤,埋立地などの港湾工事が,津波の高さを軽減するのにかなり効果を持っていることがわかった.また津波危険度の局地性についても,計算上の結果が得られた.

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